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素晴らしき世界

第18章 What is the most stupid thing?

ピピッピピッ…


クリームパンの完成を告げる音が鳴った。

「まーくんは飲み物と
小さいお皿を用意してくれる?」

「了解っ!」

俺はキッチンミトンをはめ、
オーブンレンジを開けてトレーを取り出す。

出てきたのは、
綺麗な茶色の焦げ目がついたクリームパン。

俺はお皿に完成したクリームパンを乗せ
リビングへと持っていく。

「うわぁ、美味そう」

テーブルに置くと、目を輝かせて
至近距離からクリームパンを見つめてる。

「もう、我慢できないっ!」

まーくんがクリームパンに手を伸ばした。

「熱いから気をつけ……」

「あっち、あっち」

まーくんの手と手の間で
クリームパンが行ったり来たりする。

ふーふーっと息を吹きかけながら、
パクッと頬張った。

「あつ…っ、でも、美味い!
ほら、かずも食べてよ!」

「まだ熱いもん……
もうちょっと冷めてから」

「じゃあ、これ食べな?
ちょっとは冷めてるよ?」

食べていたクリームパンを差し出す。

受け取ろうと手を伸ばしたら

「違う、違う。あーんして?」

身を乗り出して俺の口元へと持ってくる。

恥ずかしいけど、パクッと一口頬張った。

「どう?美味しい?」

「うん、美味しい」

「これなら何個でも食べれちゃうよ」

どんどんクリームパンが
まーくんの口の中へ運ばれていく。


幸せそうな、まーくんの表情。


あと何回、こんな姿を見れるんだろう……



想いは通じたとはいえ、
これからの未来は不透明で
どうなるかは誰にも分らない。


あの頃に抱えていた問題が
解決したわけじゃない。


その問題は一生、俺たちに付き纏うだろう。



でも、決めたんだ……



Who is the most foolish?

ーーあの時の俺

What is the most stupid thing?

ーーまーくんと離れたこと


あの頃の俺には決して戻らない。


他人に幸せを託すんじゃなくて、
そばにいて一緒に幸せになる。


まーくんが望んでくれる限り……


END

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