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素晴らしき世界

第40章 一年で一番可愛い日

【おまけ】


「ただいまー」

『おかえりー』

出迎える声と共に足音もだんだん大きくなる。


深夜にも関わらず、俺の帰りを待ってくれた和也。


『とりあえず……お疲れ様』

労いの言葉と共に、和也が俺に抱きついてきた。

「ありがとう」


今日はやけに……素直かも。


和也からスキンシップをしてくることはほとんどない。

付き合って何年も経つのに、まだ『恥ずかしい』という気持ちは消えないらしい。


まぁ、それがまた可愛いんだけどね。


「なんか……あった?」

だからこそ和也からのスキンシップが嬉しい半面、心配にもなる。

『うう…ん』

歯切れの悪い返事にさらに俺に抱きつく腕に力が入った。

俺は胸に埋まる和也の髪を優しく撫でながら考える。


なんか、あったかな?

和也が落ち込む事……


あっ、そういえば今日は……


「今年もTwitter、盛り上がってた?」

おれの言葉にピクッと身体を震わせた。


今日は山の日だ。

オリンピック開催で日にちが変わっていたけど、俺の頭の中は『閉会式』しかなかったからすっかり忘れてた。

『番組でLINEのやりとりを翔が伝えた時も……盛り上がってた』


そこも把握済みなのね。


そのやりとりだって嵐のLINEグループ内であって、大野さんとの個々のやりとりじゃないから、和也も知ってる。

まぁ、拗ねる要素はそのやりとりじゃないからね。

『山の日……やっぱり好きじゃない』


和也はそう言うけど……俺は好きだよ?


「和也」

名前を呼ぶとゆっくりと俺を見上げる和也の額にキスを落とす。

「今年も確かめる?俺たちの絆」

和也が潤んだ瞳を俺に向けながらコクりと頷く。

頬を優しく包むと、和也が瞼を閉じる。

そしてゆっくりと優しく重なる唇。


今年もまた、1年に1度しかない可愛い和也に会えた。


【end】
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