テキストサイズ

素晴らしき世界

第4章 俺の帰る場所

翔の家族の家に着くと
部屋の明かりがついていなかった。

みんなで出掛けてるなら、
実家に荷物でも取りに行こうと思いつつ
ドアノブを握り引いてみると、
ドアが開いた。

泥棒でも入ったのかと思い、
ゆっくりと廊下を歩き、
リビングの電気をつけた。

するとパーンと
クラッカーの弾ける音が聞こえた。

リビングには、
翔と弟の雅紀、潤、和也がいた。

和也が走ってきて俺の足に抱きついた。

和「さとしー、たんじょーび、おめでとー」

「今日、誕生日だった……」

雅「智さん、忘れてたの?」

「すっかり……」

潤「智さんらしいね」

翔「ほら、ボーッとしてないで。
手、早く洗ってきてみんなで食べよ!」

俺は手を洗って席についた。

翔「手を合わせて。いただきまーす」

智雅潤和「いただきまーす」

形は歪だけど、
どんな高い料理よりも旨かった。

雅「智さん、美味しい?」

「うん、すごく美味しい」

雅「翔にぃ、良かったね。
一生懸命、作ってたからね」

潤「愛のチカラ?」

潤がニヤニヤしながら翔を見ている。

翔「潤、小遣い減らすぞ!」

潤「何だよ、ホントのことじゃん!」

和「あいのちからってなーに?」

「それはね……」

翔「説明するな、智!」

明るい笑い声がリビングに響いた。

ご飯を食べ終えてみんなで食器を片付ける。

片付け終わり椅子に座ると電気が消えた。

翔がロウソクの火がついた
ケーキを運び、テーブルに置いた。

翔雅潤「ハッピーバースデー、智さん」

和「おめでとー」

「ありがとう」

俺はロウソクの火を吹き消した。

翔「よし、ケーキを切るぞ!」

でも、翔はなかなか切れないでいた。

「どうした?」

翔「5等分って難しい……」

「6等分でいいよ」

翔「えっ?」

「いいから。お皿ももう一枚ね」

ケーキの乗ったお皿を持って、
翔のお母さんの写真が飾ってある
小さな仏壇に置いて、
目を閉じ手を合わせた。

目を開けると、
後ろにはみんなが立っていた。

翔「これ、俺たちからの誕生日プレゼント」

翔が差し出した掌の上には鍵がある。

翔「これで、いつでも家に帰ってきな。
ここが、智の家だから」

「いいの?」

翔「その代わり、
生活費はちゃんと入れてね」

今日、俺はお客様から同居人になった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ