
素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
今日も俺は和也くんの店へと向かう。
あれから物件をいくつか見回っているが、
なかなか条件にある物件は見当たらない。
いや、違う。
なんだかんだ理由をつけて
決めかねているだけかもしれない。
店内に入ると俺の来店を
待っていたであろう和也さんがペコっと頭を下げる。
「結局、この時間になっちゃったな…
いつも、ごめんね。」
俺は潤と新しいプロジェクトを任され、
日々営業に奮闘している。
忙しいと余計な事を考えなくていい。
俺も……
きっと潤もそう思っている。
「いえ。大丈夫ですよ。気にしないで下さいね。」
「松本さ、ちょっと、うまくいってない
みたいなんだけど…なんか聞いてる?」
でも和也くんの目を見たら
どうしても潤の話題を出してしまう。
気のせいかもしれないけど俺のどこかに
潤の面影を探しているんじゃないかって。
だって和也くんに
潤の話を出来るのは俺だけだから……
「いえ、なにも…俺が寝てから帰ってくるし、
朝も起きたらもういないから…」
伏し目がちに答える和也さんの様子に、
やってしまった感が否ない。
「そっか…じゃぁ、朝はゆっくり出来てるね!」
だから少しでも俺が明るく振る舞って見せる。
「本当に一人で住むんですか?」
そして俺に雅紀の話を出来るのは
和也くんだけだから……
「……雅紀さんに、話したんですか?別れるって…」
俺は黙って首を横に振る。
和也さんはストレートに言葉をぶつけてくる。
それが羨ましかったりもする。
「言わないつもりですか?」
「まぁ…そのうち…それよりさ、飯行かね?」
俺はいつもこうやって誤魔化したり、
返事をあいまいにして逃げてしまうから……
「そうですね…どこがいいですか?」
和也くんも空気を読んで追及してこない。
俺はスマホで店の検索を始める。
忘れたい?
忘れたくない?
「つけ麺は?」
「いいですね!ラーメン大好き!」
「よしっ!決まり!」
俺も……
和也くんも……
あれから物件をいくつか見回っているが、
なかなか条件にある物件は見当たらない。
いや、違う。
なんだかんだ理由をつけて
決めかねているだけかもしれない。
店内に入ると俺の来店を
待っていたであろう和也さんがペコっと頭を下げる。
「結局、この時間になっちゃったな…
いつも、ごめんね。」
俺は潤と新しいプロジェクトを任され、
日々営業に奮闘している。
忙しいと余計な事を考えなくていい。
俺も……
きっと潤もそう思っている。
「いえ。大丈夫ですよ。気にしないで下さいね。」
「松本さ、ちょっと、うまくいってない
みたいなんだけど…なんか聞いてる?」
でも和也くんの目を見たら
どうしても潤の話題を出してしまう。
気のせいかもしれないけど俺のどこかに
潤の面影を探しているんじゃないかって。
だって和也くんに
潤の話を出来るのは俺だけだから……
「いえ、なにも…俺が寝てから帰ってくるし、
朝も起きたらもういないから…」
伏し目がちに答える和也さんの様子に、
やってしまった感が否ない。
「そっか…じゃぁ、朝はゆっくり出来てるね!」
だから少しでも俺が明るく振る舞って見せる。
「本当に一人で住むんですか?」
そして俺に雅紀の話を出来るのは
和也くんだけだから……
「……雅紀さんに、話したんですか?別れるって…」
俺は黙って首を横に振る。
和也さんはストレートに言葉をぶつけてくる。
それが羨ましかったりもする。
「言わないつもりですか?」
「まぁ…そのうち…それよりさ、飯行かね?」
俺はいつもこうやって誤魔化したり、
返事をあいまいにして逃げてしまうから……
「そうですね…どこがいいですか?」
和也くんも空気を読んで追及してこない。
俺はスマホで店の検索を始める。
忘れたい?
忘れたくない?
「つけ麺は?」
「いいですね!ラーメン大好き!」
「よしっ!決まり!」
俺も……
和也くんも……
