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素晴らしき世界

第7章 優しいサンタクロース

【相葉side】

今日はクリスマスイブ……
もとい俺、相葉雅紀の誕生日。

年末年始の番組に
今年もたくさん出演するが
すべて収録済み。

仕事は、雑誌の取材がほとんどで
スケジュールにも余裕がある。

去年までは、紅白の司会が控えていて
ドキドキの年末だったが
今年は井ノ原先輩が司会なので
そのプレッシャーからも解放された。

明日はMステのスーパーライブ。

リハーサルはお昼からだから
ゆっくり過ごせそう。

取材も終わり、楽屋を出ようとしたら
スマホが鳴った。

そこに表示されたのは俺の恋人の名前。

あれっ?
確かまだ、仕事だった気が……

もしかして、早く終わったのかも!

「もしもし、ニノ?」

ニ「ごめん、相葉さん……」

いつもより暗いトーンだったので、
俺の予想が外れたのはすぐにわかった。

「仕事押してるの?」

ニ「うん……」

年末年始にスペシャルドラマが
控えているので番宣で大忙し。

仕方ないと思うが、やっぱり寂しい……

「気にしないで」

ニ「ごめんね……遅くなるけど、
相葉さん家、行ってもいい?」

「もちろん、待ってる」

ニ「ありがとう。あっ、あとね……」

「ん?」

ニ「実は、クリスマスケーキ予約してて……」

「えっ?」

ニ「前に相葉さんがテレビ見て
美味しそうって言ってたところ……」

「マジ?ありがとう、ニノ!」

ニ「本当はサプライズで
持って行こうと思ってたんだけど
閉店までに取りに行けそうにないんだ」

「その気持ちだけで十分だよ。
場所わかるし、俺取りに行くから
帰ったら一緒に食べよ」

ニ「うん、なるべく早く帰るから」

「頑張ってね」

ニ「閉店は8時だから気を付けてね」

「了解、じゃあね」

電話を切るころには
寂しい気持ちは消えていた。

嬉しい気持ちで心が満たされる。

いつも俺が喋っている横で
和はゲームしている。

でも嫌じゃない……

ちゃんと俺の話を聞いてくれて、
返事してくれる。

ゲームしているのは照れ隠し。

いつも、耳がほんのり紅くなってる。

本人はバレてないと思っているところが
また可愛いんだよね。

楽屋に掛けてある時計を見ると
7時半を過ぎていた。

「ヤバっ!」

俺は慌てて楽屋を出た。

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