テキストサイズ

キョウダイ

第16章 流されてゆく思い







名前が似てる?






違う、そうじゃないけど……。






「俺を見て、俺の事だけ、考えて……?」






不安そうな瞳が揺れている。





泣きそうな顔。





この表情に見覚えがある。





泣き虫だった柊ちゃん。





いつもあたしが助けてあげていた……。





胸がキュンとなる。






優しくキスを落として、確認するように、あたしの顔をじっと見つめる。






「今日はあんまり寝かしてあげられないからね?」






「えぇっ、そんな、柊ちゃん?」






「柊斗って言ったよね?俺を不安にさせた罰だよ?安心できるまで、離してあげないから……」





柊ちゃんの瞳が危険な輝きを帯びて、あたしを見据える。





一瞬不安になる。






だけど、それと同時に、期待して胸が熱くなる自分もいた。





「離さないで……?大好き、柊斗……」






柊斗の首に手を伸ばして、引き寄せる。






「……!好きだ……、もう、離さない……」






また、キスをする。






うっとりとするような熱がこもったキス。






絡め合う舌に優しく丁寧な愛情を感じる。






「んっ……んふっ……」






いつものような激しさはない。






唇を離して、また、じっと見つめられる。






不安そうな眼差し。






「柊斗?」






首を傾げてしまう。





どうしたら、いい?






ふいにがしっと抱きしめられ、体をぐりんとひっくり返される。





「やっ!」






びっくりした。






気がついたら、あたしの体が柊斗の体に乗っていた。





あたしの髪が柊斗の顔にかかってしまう。






これじゃあ、顔が見えない……。






「葵の体が良く見える……」






あたしの顔を見上げて、目を細めてる。






「やだ、こんなの」





柊斗の体の上で身じろぎすると、固いモノが当たった。





「あっ!」





気付いてよけるように腰をずらす。






柊斗の片手があたしの腰を逃がさないように押さえる。





もう片方の手はあたしの部屋着をするりと脱がしている。












ストーリーメニュー

TOPTOPへ