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キョウダイ

第21章 残りの人生






「奏ちゃんに似てるって思ったんだ、奏ちゃんはキョウダイなの、君もキョウダイみたいだね?」




あたしも明の顔をじっと見つめて言った。





だけど、明は、悲しそうに首を振る。





「僕は一人っ子だから、キョウダイなんかいないんだ」




「……それは、寂しいよね?だから、泣いてるの?」




「違う、パパとママが喧嘩するから……、僕のせいなんだ、僕の体が弱いから……」




「そんなことないよきっと。
家のママが言ってたよ、喧嘩するのは仲良しの証拠なんだって、沢山お話しするから、喧嘩する事もあるけど、すぐに仲直りするよ?」




「家は、すぐに仲直りしないよ……」





また、悲しそうに、膝を丸める。





「いつも一人で泣いてるの?」





あたしが涙の溜まった目を見つめて言うと、ムッとしたような顔をして、目を擦っていた。





「これは違う、目が痛くて、擦ったからだから」





お花の下に隠れるように座って、誰にも泣いてる所を見られたくないんだと分かった。





奏ちゃんも悲しい事があった後は、こっそりとカーテンに隠れて泣いてる時もあったし。





綺麗な顔立ちだけど、ちゃんと男の子なんだと思った。





だけど、こんなに大きな家に住んでいるのに、キョウダイもいなくて、一人ぼっちで隠れて泣いてるなんて……。




「ボクがキョウダイになってあげるよ、寂しくないように、いつも一緒に遊ぼうよ」





髪が短くて、弟の奏ちゃんとガサツに遊んでばかりだったから、この頃は自分の事をボクと言っていた。




「そうだ、奏ちゃんも一緒に連れて来るから、君に似ているんだよ、こんな大きなおうちで遊んだら、きっと楽しいよ」




「キョウダイになんて、なれるわけないだろ?」





呆れたように、大人びた顔をする明。





「だから、キョウダイみたいに、一緒に遊ぼうってことだよ、ね、いい考えでしょ?」




「……友達になってくれるってこと?」





「うん、ずっと一緒に遊ぼうって事だよ、それに明君ってば、凄く綺麗だから、気にいっちゃった」




「はあ?綺麗って、僕、男なんだからね」





赤い顔をして、ムッとしたような目で、睨まれた。




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