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キョウダイ

第21章 残りの人生





明の手を取って握手する。





「奏ちゃんを連れて来るから、一緒に遊ぼう、本当のキョウダイみたいに見えるから、みんなびっくりするよ」




「そんなに似ているのなら、会ってみたいな?」





「じゃあ、待ってて、すぐに連れて来るから、一緒に遊んだら、凄く楽しいから、退屈しないよ」




立ち上がって、家に帰って、すぐにでも奏ちゃんを連れて来ようと思って言ったのに。





明はあたしの手を引き止めるように、引っ張った。




「今日は君と遊びたい、何時まで遊べるか分からないから……だから、明日も遊べる?」




上目使いで不安そうな顔をする明。





毎日遊ぼうって約束しても、急に体調を崩して遊べない事もあったから、明には明日自分が約束通りに遊べないかもしれないって、分かっていたのかもしれない。




「うんっ、だから、ずっと一緒に遊ぼうって言ってるでしょ?」




あたしは明の手を、ぎゅっと握りしめた。





その時の明の笑顔が、花のような、ふわりとした綺麗な笑顔で、可愛いくて、あたしは思わずぎゅっと抱きついたんだった。




ああ、懐かしいな。





すっごく、可愛いかったな。





あの時の明…………。





子供の頃の明の夢を見ていたからか、すぐ傍に明がいるような、夢を見た。





そんな筈のない、夢を見る。





「葵ちゃんのおかげで、諦めていた人生にしがみついて、みたくなったよ。
いつ死んでもおかしくない、毎日怯えて死ぬのを待つよりは……。
どんな状態になるかも分からない。
人工の心臓、埋め込み心臓……、今の医学は確かに発達してるけど。
寝たきりになるかも分からない……。
みっともない姿になっても、それでも……。
移植手術を待つ間に体が持たないかもしれない……。
だから、やっぱり君には、待って欲しいなんて言えない。
誰かと一緒に幸せになって貰っても構わない。
だけど、もし、俺が生きて元気で帰って来たら……。
その時は、全力で奪うから……」





これは、夢なのかな?





あたしの部屋に明がいる。





ベッドの傍に、普通に立って、話をしている。





だって、入院しているって言ってたじゃない?





絶対安静だと、明のお父さんが……。






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