
箱……録
第3章 宝箱の鍵
歩きながら…
記憶と照らし合わせていく―――…
「あ―――…ここ…駄菓子屋さんだったよね?」
汚れた看板…汚れた壁―――…
見た目はすでに駄菓子屋では無いが―――…
私の記憶では、楽しい場所のひとつだった――――…
「思い出しましたか?
私が中学の時に…店主が亡くなって、そのまま閉店しました」
「――――…そっかぁ…何か寂しいね…」
仕方のない事だが――――…
無責任な“寂しさ”を…言葉にした――――…
「―――…モッちゃんがいた時は…もう少し…お店もあったかもね…
もう……何も無いのが…この町の現状ですよ―――…」
歩きながら……私は…
記憶を呼び起こそうと……
町の隅々まで見ようと目を凝らす…
「あれ―――…そう言えば…
私の家の近くに……結構な年配の方が住んでたよね?
よく…遊びにいってた―…?」
私は、T字路の一点を見つめる――――…
「あぁ……いましたね…
92歳の超老女――――…」
私は、鍵を取りだし…後藤に見せた!!
「――――…これ、そのお婆ちゃんから貰ったんだよ…」
断片的だが…鍵をもらう記憶が……あるのだ―――…
