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心はまるで水車のように

第9章 堕落

 次は、若いひょろひょろした男だ。デザートを食べに行き、ぶらぶらする。ホテル街で五万円を見せられる。

「これでいい?」

「……いやです。だって私、今まで経験ないんですよ? なのに……」

「あ、ごめん。これでどう? 十万円」

 私の言葉に男の息が荒くなる。見境がないとは、まさにこのことだろう。

「分かりました」

 こうして、私の初めては終わった。本当にもうどうでもよくなった。今日だけで十三万。でも、特に使うあてはない。罪悪感もなにももはやない。これで、家に帰らずに生活ができる。私にはそれだけで十分だった。店に帰る前に新しい服を買った。店に戻り、制服を返し、ネットカフェに行き、泊まった。

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