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俺スパイ
第1章 ミッション1
俺は右手に重要な書類を握り、受け渡しの店に急いだ。
店はいつもより混んでいる。なにしろ今日は2/14の土曜日、いたしかたない。
俺は焦る心をおさえつけ、つとめて冷静をよそおいつつガラスケースの中のケーキをながめるふりをした。
気を抜くと、足を揺らしてしまう。貧乏ゆすりというやつだ。危ない危ない、スパイらしくない。俺は足を踏ん張ってこらえた。
やっと順番がまわってきた。「あ、もう僕の順番ですか。まいったな、もう少しゆっくりこの素敵なケーキたちを愛でていたかったのに」、というニュアンスをこめて、用事をすませた客にかるく会釈する。
レジの向こうで店員が笑顔で俺を迎えた。
俺は彼女に握りしめた書類を手渡した。
彼女は用心深くあたりをみまわすと、手にしたそれに目を走らせた。
俺が目で合図すると、彼女は軽く頷き店の奥に消えた。
しばらくして戻って来たその手には四角い30cm四方の箱があった。
差し出された荷物を受け取った俺は、依頼人にそれを届けるべく、待ち合わせの場所にむかった。
店はいつもより混んでいる。なにしろ今日は2/14の土曜日、いたしかたない。
俺は焦る心をおさえつけ、つとめて冷静をよそおいつつガラスケースの中のケーキをながめるふりをした。
気を抜くと、足を揺らしてしまう。貧乏ゆすりというやつだ。危ない危ない、スパイらしくない。俺は足を踏ん張ってこらえた。
やっと順番がまわってきた。「あ、もう僕の順番ですか。まいったな、もう少しゆっくりこの素敵なケーキたちを愛でていたかったのに」、というニュアンスをこめて、用事をすませた客にかるく会釈する。
レジの向こうで店員が笑顔で俺を迎えた。
俺は彼女に握りしめた書類を手渡した。
彼女は用心深くあたりをみまわすと、手にしたそれに目を走らせた。
俺が目で合図すると、彼女は軽く頷き店の奥に消えた。
しばらくして戻って来たその手には四角い30cm四方の箱があった。
差し出された荷物を受け取った俺は、依頼人にそれを届けるべく、待ち合わせの場所にむかった。
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