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Sinful thread

第3章 愛欲



───奏多の部屋で目が覚めた朝。


不思議と気まずい雰囲気はなく、あたしは逆に妙に清々しい気分だった。


奏多と一緒に家を出て、そのまま大学へ向かう。


……スマホの返信は、あれからまだ見ていない。
見るのが怖い。


葵だって心配してるかもしれない。


今日はさすがに帰らなきゃいけないのに……。
あたしは授業がすべて終わっても、なかなか葵の家に帰れずにいた。


時計を見ると、既に19時を差している。
……葵も、仕事を終えて家に帰ってる時間。


このまま帰らずにお母さんに連絡でもされたら……それこそめんどくさいことになる。


……ちゃんと帰ろう。
連絡もずっと無視して、怒られるかもしれないし、怖いけど……。


重い足取りでマンションまでの道のりを歩き、葵の部屋の前まで辿り着いた。



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