Sinful thread
第3章 愛欲
葵の腕の中で、あたしの瞳からは無意識に一筋の涙が溢れた。
「葵……あ、あぁっ……イ、く…っ」
……朝が来れば、今日のことは全てなかったことになる。
乱れた身体も、葵の温もりも、綺麗に消えてしまう。
なかったことになんてしたくない。
葵にだって、覚えていてほしい……。
叶うはずのない、口に出せない願いばかりが頭の中で渦巻く。
それでも、襲い来る快楽の波に逆らうことは出来ずに。
葵があたしの最奥を突いた瞬間……
葵の腕の温もりに包まれながら、あたしはそのまま、意識を手離した──────。