Sinful thread
第6章 色情
「はぁーーー……」
ため息混じりに吐き出した紫煙が、雲ひとつない青空と重なった。
───希美が、俺の家から出て行ってから一週間。
希美が嫌がるかもと、家では吸わないようにして減っていたはずの煙草の本数が、また徐々に元に戻り始めた。
……常に、イライラしてる。
イライラが積み重なるのに比例して、本数は増えていく。
社内にも喫煙所は設置されているものの、誰もいない屋上の方が落ち着く。
青空を見上げながら、ぼーっと希美のことを思い浮かべた。
「……葵!」
後ろから俺を呼ぶ声がして、振り返る。
「また煙草吸ってるー」
「芽依……」
にこにこと笑みを浮かべた芽依が、そこにいた。
「仕事中もたまに席外してるよね。最近吸いすぎじゃない?」
「んー……、まぁ……」
わかってはいるけど、こうしてないと落ち着かねぇ。
吸い終った煙草の火を消すと、芽依に二の腕を掴まれた。
「ねぇ、そういえば、今日の夜一緒にご飯行かない?」