生徒会長の苦悩―初めてを貴方に
第2章 彼
1コール……
何してるの。 こんな夜遅くに迷惑じゃない。
2コール……
3コール……
ほら、やっぱり寝ちゃったのよ。
起こしちゃ悪いからさっさと諦めて切りなさい―――
プツッ
「……あ、もしもし、涼子?」
「え、あっ……隆弘さん?」
嘘でしょ。
「うん。 …声、聴きたくなっちゃった?」
「あ…うん…」
図星だ。顔がだんだん熱くなる。
「そっかぁ。俺も声聴きたかったよ」
「ほ、本当に!?嬉しい……」
本心だった。
大好きな彼にそんなふうに言ってもらえるなんて―――
「ちゃんと授業聞いてたのかー?」
「んー? ずっと隆弘さんのこと考えてたよ?」
「おいおい。 まぁ嬉しいけどさ…」
「ふふっ」
男子に媚びたりなんかしないって意地張ってた私が、自然と甘えた声と口調になってる。
彼氏――だからかな。
片想いしてた人にもこんなに媚びたことなんてなかったのに。