生徒会長の苦悩―初めてを貴方に
第2章 彼
「…嬉しい」
ふうっと柔らかな溜め息。…嬉しい?
「なんで…?」
「はぁ? だって…」
彼は一瞬口ごもる。
「…大好きな女の子の『初めて』が自分って、なんか、嬉しくないか?」
やだこの人―――私を「キュン死に」させるつもりだ。ひどい。さっきからもう寿命縮まりっぱなしだよ。
「俺は…もう四十四のおっさんで、初めてなんてとっくの昔すぎて忘れたけどさ…やっぱり嬉しいよ、涼子」
「隆弘さん……」
変だよ。
自分の名前なのに―――隆弘さんが声に出すと、初めて呼ばれるみたいに嬉しい。
「あ、もう一時近いな。中学生はもう寝ないと。 大きいおっぱいもっと大きくならないぞ?」
「もう!」
こんな照れ隠しも可愛い。
「…おやすみ」
「おやすみなさい」
今夜はどんな夢を見させてくれるの?