君が書く手紙
第3章 翔太くんの約束
☆
翔太くんの家から帰る新幹線の中で、私はじっと考えていた。
翔太くんは、どうしてドナーになろうと思ったんだろう。
叶恵ちゃんとの約束ってなんだろう。
せめて叶恵ちゃんに聞いてくればよかった。
ごめんなって、なんだろう。
私は、翔太くんのことをもっと知りたいと思った。
トクン、
そんな私の思いが伝わったみたいに、
小さく鼓動が鳴った。
ねえ、翔太くん。
もう一度、私の夢の中に出てきて。
そうして聞かせて。
あなたの声を。
あなたは後悔してませんか?
ドナーとして私に心臓を譲ってくれたこと、後悔してはいませんか?
私はどう生きていけばいいんだろう。
教えてよ。翔太くん。
あなたは、何を望みますか?
不思議。
もう翔太くんはいないのに。
会ったこともないのに。
全く知らない男の子なのに。
気になって気になってしょうがない。
私、あなたのために何かしてあげたいと思ってしまうの。
おかしかな?
おかしいよね。
そう思うと不思議とまた涙が出た。
頬を伝った涙は、私の掌にそっと落ちた。