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刑事とBG

第1章 刑事とBG~前編~


『あひぃいぃ~』


ドサッ


!!?


その気の抜けた奇声と倒れる音に反応して振り返ると、ゆうひが廊下で目を回して倒れていた。


「ゆ、ゆうひ…!?」


斉藤は急いで駆け寄った。


『ゆぅれー…ゆぅれー…ゆぅれー…』


(あ…そういやぁこいつ、幽霊系が苦手だったな…)


ゆうひは団蔵の霊をうっかり見てしまったんだろう。





…この世にお化けなんて、幽霊なんて、妖怪なんて…絶対いない

いるわけない…


ってか、いてほしくない


なのに!!


…見てしまった…おじいちゃんの幽霊…



もうヤダー…


呪われるー…呪い殺されるぅー…


助けてさいとぉ~



そう言えば…この目の前にいる人は…


あ、斉藤か


…斉藤…か…


ふ…ふぇええぇ~ん!!!




『怖かったよぉおお!!!』


ゆうひは斉藤に抱き着いた、

…つもりだった。



「あ…ちょっと…」

『え?』


!!!

斉藤じゃない!!!
あのボディーガードの…祐司って人だ!!!


『あ、ご、ごめんなさいぃ!!!』


ゆうひは慌てて祐司から離れた。


(な…何であたし、祐司さんに抱き着いたの!?
あ、斉藤とうっかり間違えたからだ!!)


それより…ここは?


ゆうひは気を失っている間に、ソファーに寝かされていた。
祐司は毛布でも掛けてやろうと思い、ゆうひの近くに来たわけだが…ゆうひはそれを斉藤だと勘違い。
幽霊を見た恐怖から、思わず抱き着いてしまった。

…わけだが…


「…」


しっかりその一部始終を見ていた斉藤。
完全に拗ねてしまった。



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