
刑事とBG
第1章 刑事とBG~前編~
「刑事さん」
圭吾が斉藤を呼び止める。
「あ?」
「俺たちも取り調べ手伝います」
圭吾の発言に、護も祐司も驚いた。
「…」
斉藤は少し考え込んだ後、
「んじゃ、お願いします」
そう言った。
―――――――
取り調べは順調に進んでいた。
30人くらいは終わっただろう。
「―――…そうっすか、ありがとうございます。…次」
斉藤はメモ帳にサラサラと書いた。
「ありがとうございます」
祐司は扉を開け、取り調べをした女性を外に出す。
入れ替わって、男が入って来た。
その時──
「きゃあああああー!!!」
!!
また悲鳴が聞こえた。
斉藤、祐司、護、圭吾は急いで悲鳴が聞こえた部屋へ向かった。
「何があった…!?」
飛び込んだ部屋は、親族やコックやメイド…身内が待機していた部屋だった。
皆ガタガタと震えながら、ある一カ所を見ている。
「んな…馬鹿な…」
斉藤は自分の目を疑った。
暖炉の前にボンヤリと見えたのは、紛れもなく原黒団蔵だった。
「あれは…」
「間違いない、団蔵様の霊ですね」
祐司と圭吾は、冷静にその場を見定めた。
団蔵はその今にも消えかかりそうな腕を上げ、どこかを指差した。
裏 切 り 者 …
ぼやけた声だったが、確かに全員そう聞こえた。
「(裏切り者…?)」
祐司は団蔵の霊が何を指差しているのかはっきりとはわからなかったが、親族を指していることは確信できた。
そして、何事もなかったかのように団蔵の霊は消えていった。
