テキストサイズ

宇宙

第1章 もう一人の私

朝日が昇り、淡い黄緑色をした小さな家に日が差し込んだ。
二階の窓の隙間から風が吹き入り、カーテンの様々な大きさのお花が風と一緒に遊んでいる。
「ピピピピ‥」
「絢、起きなさい!」
首元がすっきりした短めの髪を耳にかけ、淡い緑色のエプロンを着ている母真希は、一階から声を張り上げ、
片手に掃除機を持ち二階へと上がりドアを開けた。
「ピピピピ‥」
真希はいつものように設定時間が過ぎるまで鳴り続けるであろう目覚まし時計を止め、そんな音などお構いなしに、スヤスヤと眠り続けている娘の絢を起こす。
絢はあと5分だけ寝させてと言わんばかりにふかふかの布団がタコ糸のように、しっかりと包まっている。
目覚まし時計の針を少しずつ遅らしていて、寝る余裕など1分足りともない事を真希はお見通しだった。ゆらゆら揺れているカーテンを全開に開け、日光を取り入れ鼻歌まじりで掃除機をかけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ