Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第3章 受験の冬と、恋する乙女の聖なる日。
~Ayuka Side~
時が過ぎて、明日はバレンタインデー。
ついでに、明日は受けた学校から合否の通知が届く日でもあった。
少し緊張しながらも、毎年の様にチョコを作っていた。
あげる人なんて、限られている。
毎年交換している幼馴染、クラスでも凄く仲の良い子、家族、それから剛典位。
今年は、剛典の分は別。
もうすぐ会えなくなっちゃうから…。
想いを伝えたい。
この気持ち…、上手く伝えられるといいな…。
―次の日。
日曜日だし、会えるかどうかも分からないけど、とりあえず剛典の家に行った。
ピンポーン、とチャイムの音がすると、すぐに「はーい」と言って出てきた。
「あっ、歩風。 どうした?」
「これ届けに来たの」
そう言って、紙袋を剛典の前に差し出した。
「何コレ?」
「チョコ。 今日バレンタインだからさ…」
そう言うと、「マジで!?」と言いながら私の手から袋を取った。
「有難う! めっちゃ嬉しい!」
その笑顔を見て心底安心した私は、「じゃあ、それだけだから」と言って帰る事にした。
「そっか。 気を付けて帰れよ。 わざわざ有難う」
「うん、バイバイ!」
「おう!」
剛典がチョコを受け取ってくれた事に気を緩め、そのまま帰宅した。