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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第3章 受験の冬と、恋する乙女の聖なる日。


「ただいまー」
「お帰り。 あゆ、手紙届いてるよ」
帰って来ていたお兄ちゃんから茶色の封筒を受け取った。

「有難う」
「うん」
そのまま部屋に戻ると、ゆっくりと封筒を開けた。

そして手紙を取り出すと、開いて読み始めた。
「鈴木歩風様」の後に色々書いてたけど、読み飛ばした。

…そして、ついに「合格」の2文字を見つけた。

前に「不」が付いてないか何度も確認したけど、間違いない。
文末の方に、「貴方を本校の生徒として迎える」って書いてあるし…!

私はその手紙を持って、お兄ちゃんの所に行った。
ドアを何回も叩いたせいで、「SAYAKA」と書かれたプレートが弾んでガチャガチャと言っていたけど。

「あゆ…? 入って良いよ」
お兄ちゃんの少し眠そうな声が聞こえたのと同時に、ドアが開いた。

私はお兄ちゃんに飛びつき、「お兄ちゃん!」と何回も呼んだ。

「うわっ! あゆ、どうした? …っていうか、そんなに呼ばなくても聞こえてるから!」
それを聞くと呼ぶのをやめ、顔を見上げて言った。

「私、鈴木爽風の後輩になれるの!」
「…はっ?」
突然の事に固まり、私を見ながら目が点になるお兄ちゃん。

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