テキストサイズ

Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第1章 夏の日常。

~Ayuka Side~

「あーゆかー! 帰ろうぜー!」
…ほら、今日も始まったよ。

「いいけど…。 騒がないでよ、恥ずかしい」
「歩風は照れ屋さんなのか」
「はあ? 何言ってるの?」

騒いで私の名前を呼んだのは、私の親友の岩田剛典。 
頭が良くて、運動神経が良くて、中々のイケメン。 
まるで女子の理想を絵に描いた様な感じだけど、実際はガサツで大雑把だし、ちょっと天然っぽい所もある。 

…でも、頼りがいはあるし、見た目は可愛い癖に男らしい所もあるから、いつからか好きになっちゃった…。 
…剛典にこの気持ちを伝えたら、この関係が一発で壊れてしまうのが目に見えているから、伝えるつもりは一切ないけど。

「なあ歩風、帰ろう、ってば」
「ああ、うん」

剛典に呼ばれ、歩き始めた。
帰り道は、大体が下らない話。 同じクラスだから、教室の中で話す事もあるけど、やっぱり下校時に話している時が一番楽しい。 私は普段、クラスでは大人しくしている事が多いからクールに見られがちだけど、剛典と話している時は静かになんかして居られない位、笑顔ではしゃぐ。 剛典と話をしているだけで、楽しいから。
…そうやってはしゃぐのが、私の毎日の楽しみ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ