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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第1章 夏の日常。


「剛典。 今日のテスト、どうだった?」
「え、あれは超余裕でしょ」
「うわ、腹立つ~」
「フッフッフ…」
テストの話を振ってしまった私もあれだけど、今回のテストはいつにもまして自信がなかった私は、剛典のドヤ顔にむかついた。

「子犬のくせに…」
そう呟きながら、剛典にデコピンをした。

「痛っ! 突然何だよー…。 …っていうか、「子犬」って何?」
ちょっと頬を膨らませながら、私の顔を覗き込む。
…そんな彼の表情でさえもドキッとしてしまう私は重症なの?

そんな心情に気付かれたくなくて、そっぽを向いた。

「子犬は、子犬だよ」
「じゃあ、歩風は子猫か?」
そう言いながら、私の頬をつついてくる剛典。

「な…、何でそう思うの」
「ほら、そうやって。 気まぐれだし」
今度は、頬をつまみ出した。 …とても、中3男子の行動には思えないけど…。

「私って、気まぐれ?」
「うん。 …ほら、今も」
「えっ?」
分からなくて聞き返すと、少し困ったような顔をして言った。

「今もさ、ふざけてたと思ったら、突然俺の事「子犬」とか言い出して、デコピンするし。 …と思えば、突然構ってくれなくなるし…」
「あ…、ごめん…」
なんだか申し訳なくなって、謝った。

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