Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第4章 卒業式と、初恋。
~Takanori Side~
「ん…」
なぜかいつもよりも早く目覚めてしまった俺。
まだ冬の様に冷え込む朝に慣れず、布団を頭まで被ってから思い出した。
「あ…。 今日卒業式じゃん…」
無意識のうちに口に出した自分の言葉に驚くのとともに、寂しい気持ちで胸がいっぱいになった。
今日は卒業式。
それは中学生最後の日を表すのにはふさわしいけど、俺にとっては親友と離れてしまう日の事も表していた。
「はあ…」
今更どうこう考えたって仕方がない。
そう開き直ると、息を吐いて布団を出た。
「やっぱ寒いな…」
そう思ってストーブのスイッチに手を伸ばす。
一瞬で吹いてくる暖かい風に手を伸ばしながら時間を確認すると、今日やるべき仕事の原稿を読み始めた。
卒業式で、卒業生代表の言葉を言う事になった俺。
ちなみに、歩風も一緒だった。
一緒なのが嬉しかったけど、それをやってしまったら本当にお別れのような気がしてしまっている俺は、どれだけ寂しがり屋なのだろうか。
そんな自分に軽く呆れながらも、それだけ歩風を好きだったのだという自覚も沸いてきて、なんだか恥ずかしくなった。
原稿を読み終わると、カーテンを開けて外を眺めた。
…次第に音が響きだす家の中。