Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第4章 卒業式と、初恋。
「だったらさ…。 ずっと友達で居ようよ…。 カップルみたいに仲が良い、大親友で居よう…?」
歩風の目には、一度引いたはずの涙がまた戻って来ていた。
俺も、本当は恋人になりたいけど…。
出てきそうになる涙をこらえ、「そうだね」と言った。
「俺等は、俺らなりの在り方で、ずっと親友…。 確かに、その方が俺達らしいのかもな」
「うん…」
2人で納得すると、顔を見合わせて笑いあった。
「よし! 剛典、帰ろう!」
突然、腕を組んできてそう言った。
「…そうだな!」
俺も返事をすると、ゆっくりと歩きだした。
…こうして俺の初恋と初告白、そしてファーストキスは終わった。
想いが叶う事は無かったけど、これからも「親友」という在り方でいるのは、もしかしたら一番俺達らしい結果だと思う。
…俺が行くまで、後少し。
それまで、ずっと親友で居よう。
…いや、それから先もずっと、俺等は俺らなりに一緒に居よう…。