Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第4章 卒業式と、初恋。
そんな彼女の事を抱きしめ、おでこにキスをした。
「何…?」
何をされたのか気付いていなさそうな彼女。
顔を上げた彼女の涙を指でそっと拭き、唇を重ねた。
「んっ…」
小さく吐息が漏れて、何か色っぽい…。
離れると、さっきみたいに目を大きくさせて赤くなっていた。
「…急すぎる」
「ご、ゴメン」
俺が軽く下を向くと、首に腕を回し、軽くキスしてきた。
「なっ…!?」
「さっきのお返し!」
そう言って照れて笑う彼女の姿は、やっぱり気まぐれな子猫のようで。
つられて笑顔になった。
「…ねえ、歩風も俺の事好きなんだよね…?」
「そうだよ?」
「…付き合ってくれないかな…?」
俺がそう言うと、首を横に振った。
「えっ…?」
「確かに、剛典の事は大好きだよ? だけどさ…、私達、もう離れちゃうんだよ。 今付き合っても、別れるのが1週間後なら同じ事でしょ? だったら、最初から…」
「遠距離じゃダメなの?」
彼女の言葉を遮って言うと、また首を振った。
「剛典。 今度自分が行く高校の事、分かってる? 勉強と部活が物凄くて、私なんかに構っている暇なんかないと思うよ」
確かに、言う通りだけど…。