Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
…彼女がデビューしてから、ずっとTVで彼女の姿を見ていた。
遠くなってしまった、と寂しかった想いなんて沢山したけど。
そんな想いより多く、彼女の歌に勇気や幸せを沢山貰った。
…だから、今度は俺の番。
遠くに居た歩風に貰った幸せ以上に、傍で俺が沢山歩風を幸せにする。
「ねえ、絶対に柚ちゃん達待ってるよ。 …行こう?」
笑顔の彼女は、そう言ってこっちに手を差し出した。
「そうだな。 きっと「遅い」って希緒にキレられるな。」
「多分ね」
笑った彼女の差し出された手を握り、歩き始めた。
…これから何があっても、俺達ならきっと…、いや、絶対に大丈夫。
どんな向かい風の中も、ゆっくり確実に歩き続けて来たから。
2人揃った今なら、どんな状況にも立ち向かえるよ。
辛い事があっても大丈夫。
だって、隣を見れば、大好きな君が居てくれるから。
傍に大好きな君の存在を感じられるだけで、どれだけ強くなれるか…。
今はまだ未知数だけど、絶対に大丈夫だと信じてる。
大丈夫。
誰にも負けない。
歩風と共に過ごした全ての瞬間と、歩風を好きでいる事を諦めなかった日々が、俺を成長させてくれたものであり、俺の宝物だから…。