Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
…歩風、そんな風に考えてたんだ…。
俺がずっと歩風を好きだった気持ちは、決して無駄じゃ無かった…。
それどころか、歩風も俺をずっと好きで居てくれた、って事…?
「本当は…、ずっとずっと大好きだった。 自分から「親友で居よう」って言った癖に、諦め悪くて意気地無しの私でゴメンね。」
そう言った彼女の目から、大きな雫が零れた。
「剛典の事が、ずっと好きです。 仕事柄、迷惑を掛ける事も絶対に多いと思うけど…。 それでも、こんな私で良ければ、彼女にして下さい」
そう、あの頃から変わらない優しい笑顔で言った。
そんな彼女に近寄ると、そっと抱き締めた。
そして、指で涙を拭き取ると、そっと唇を重ねた。
「…これからは、恋人、って事で良いんだよね?」
唇を離し、顔を覗き込んでそう聞くと「うん」と嬉しそうに言った。
…やっと、想いが通じた。
お互いに好きだったのに、擦れ違ったままだった5年間。
この5年でお互い変わった部分は多い。
俺はダンスを始め、彼女は今や夢を叶えて、日本のトップアーティストとして名を挙げられる位大きな存在になった。
…こんなに変わったけど、離れていた5年間は、決して無駄じゃ無かった。
お互いを成長させてくれたし、改めて相手の大切さに気付かさせてくれた。