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旅は続くよ

第12章 無理

暫く黙って考えて、

俺の出した答えは

S「…仕事、探しなよ」

それが1番ニノにとって良い事なんじゃないかと思った

N「は?…やっぱ、出てけって事…?」

S「違う。そうじゃないよ」

出て行かれたら困るのは俺の方

だから、そういう意味じゃない


S「好きで始めた仕事なんだろ?
だったらもっと夢中になってみなよ」

ニノが無言で冷めた目をしてる

分かってる

ニノだってバカじゃない

こんな単純な事、頭を過ぎらなかった訳じゃないだろう

だからって考えてばっかりじゃダメな時だってあるだろ?


S「仕事探すって具体的に何やんの?
持込とか?俺もツテないか探してみるから」

N「ちょっ!待って!」

ニノが慌てたように俺の言葉を遮った

N「待ってよ翔ちゃん。…何なの急に」

S「急じゃないよ。前にも言ったろ?
早寝早起き、ちゃんと起きてちゃんと食べて働いてさ
ニノは心をもっと丈夫にしなきゃじゃねぇの?」

N「ふふっ…、翔ちゃんらしいや」

ニノは困ったように小さく笑った


N「いかにも堅物な考え方だね。
仕事に夢中になったからって何が変わるって言うのよ」

S「少なくとも今より前に進めるだろ?
暇でブラブラしてっから嫌な思い出に捕まっちゃってるって面もあるだろ」

N「悪かったね、ブラブラしてて」

S「ちゃんと生きろよ、ニノ。
別に仕事は金の為だけじゃない。
お前、勿体無いよ」

N「…いいよ、俺の事は放っておいて」

S「放って置けないよ」

N「なんでよ。翔ちゃんには関係ないでしょ」

S「あるよ。…関係ある」

N「何が関係あんのさ!」

S「好きだからだよ…!」


…気づいた時には口に出してしまっていた

言い合いの中で零れた俺の気持ち


忙しなく動いてたニノの口が止まって

目を見開いたまま俺を見てた


S「…お前が、好きなんだ…」


俺の突然の告白に固まっていたニノは

暫くしてから誤魔化すように笑った


N「…あは、ビックリした……。
真面目に言うから」

S「真面目だよ」


言ってしまったからには

誤魔化したりなんかしたくない

嘘にもしたくないよ

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