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旅は続くよ

第1章 ひとつ屋根の下

O「潤は相変わらずだね~」

智くんがゴチャゴチャになった釣り道具を片付けながら言った

A「ううん。久しぶりに潤の元気な声聞いた。母ちゃん死んでやたら落ち込んでたから…」

雅紀がキッチンのゴミを纏めながら呟く


S「お前も大変だったな」

俺がリビングの荷物を分別しながら言うと

A「俺は最期には覚悟できてたから。
母ちゃんも頑張ってくれたし」

雅紀がゆっくりと言葉を繋げた

A「俺には潤がいるから、大丈夫」


O「わかる、それ。俺も翔ちゃんいなかったらダメだったもん」

A「弟ってか~わいいよねぇ。
潤なんか小っちゃい時から天使みたいでさ」

O「ウチの翔くんも天使みたいに可愛かったぞ?今は筋肉ムキムキになっちゃったけど」

S「はいはい。兄バカトークはそんぐらいにして?
潤が戻ってきた時片付いてないと、また怒られるぞ」

O「は~い」

A「さ、やっちゃうよ~」


…ったく、恥ずかしいな

20代後半にもなって兄に可愛いなんて言われても…

悪い気はしないけどさ


両親を突然亡くして、智くんの存在に助けられたのは俺も同じ

悲しみは消えて無くなったりしないけど

何とか生きていく力を与えて貰っているのは確かなんだ




殆ど片付いた頃、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った

誰だろう?

潤ならチャイムなんか鳴らさないだろう

今日は店も閉めているからお客様も来ない筈なんだけど…

智くんは何処かに荷物を仕舞いに行ってるらしく、姿が無い


ピンポーン

もう1度チャイムがなった

S「はいはい」


仕方なく、俺が玄関の扉を開けると

そこには見知らぬ小柄な男がニコニコして立っていた


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