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旅は続くよ

第1章 ひとつ屋根の下

Nside



バス停を降りて右に進むと、
聞いていた通り坂道があった

ボストンバッグを肩に掛け直して上っていく


今日引越しだって聞いたから遠慮したけど

迎えに来て貰えば良かったな…

荷物持てって言えば、笑顔1つで持ってくれるのに…



坂道を上りきると右手に小さな公園、左手に

「…あった」

大野古書店がそこにあった

古びたシャッターは閉められていて

『本日、都合により休ませていただきます』

下手くそな字で書いた貼り紙がしてある


左側に家族用の玄関があって

“大野”の古びた木の表札に並んで“櫻井”の簡素な表札

その下に釘に引っ掛けた小さなプラスチック板に

油性マジックで書いた“相葉”と“松本”の文字


間違いない

「ここだ…」


俺はチャイムを鳴らした

1回目じゃ気づいて貰えなかったみたいだから

もう1度押してみる

耳を澄ましてると、
家の中から「はいはい」と声がして

扉が開いた


えっと…

…誰だ?

“大野さん”かな


一応お世話になる身なので、
愛想良くニコニコしてると

S「…どちら様?」

形のいい眉を少し顰めて、目の前の男が聞いてきた

N「えっと、二宮です」

S「…はぁ……」


あれ?

ここんちで良いんだよな?


N「あの~、今日からお世話になる…」

S「はぁ?」

大きな目をますます怪しそうに顰めてる


あれ?

話通ってねーのかよ!


N「…相葉さん、います?」

S「…雅紀に何の用?」


おいおいおい!

完っ全に怪しまれてるじゃん!


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