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旅は続くよ

第14章 好敵手

Aside



A「俺、言ったよ」

ニノに告白した次の夜、

翔ちゃんの部屋まで乗り込んで宣戦布告した

A「俺も言ったんだ。ニノに『好きだ』って」


もうフられたんだから、翔ちゃんに言っても仕方ない?

ううん、違う

1度断られたぐらいで諦められるなら、サッサと告白してるし

翔ちゃんだって諦めてるとは限らない

だってほら、

翔ちゃん全然驚いてない


S「そうか…。俺も言ったよ」

A「うん。知ってる」

俺がニッコリ笑って言うと、

翔ちゃんも同じような笑顔を返してきた


今の俺らは従兄弟同士じゃないね

ニノの事を好きなライバルだ



S「で、なんでわざわざ俺に?…上手く行ったのか?」

A「まさか。そんなんなら良かったけど」

S「ははっ。ブルータス、お前もか」

A「何、ブルータスって。雑誌?」

何が可笑しかったのか、翔ちゃんは大笑いして

その後、笑みを残したまま俺を見た


S「…フラれた割にはショックじゃなさそうだけど」

A「諦めてないもん。…翔ちゃんは?」

S「なんだ、探りを入れに来たのか。
…諦めてると思う?」

A「くふふっ、諦めたら?」

S「ははっ。やだよ、バカ」

ライバルなのに変な会話

やっぱり従兄弟だからかな



S「…お前はさ、何て言われたの?」

A「え、何が?」

S「ニノに告白した時。何て断られた?」

A「俺ら幼馴染だからね。
『なんでそんな事言うんだ』って。
まぁ、予想通りだったけどね」

S「そっか。…俺は『無理』って言われた」

A「だってね。ゴメンね?それも聞いちゃった」

S「筒抜けだなぁ、おい」

翔ちゃんは笑いながら「いいけどさ」と呟いて

今度は少しだけ溜め息をついた


S「…なあ、なにが『無理』なんだろうな」

A「それは…本人に聞けば?」

S「…だな」


翔ちゃん、ソコを気にしてたんだ

…そうだよね

『無理』なんて言われても、

何が『無理』なのかわかんないよね


教えて諦めて貰う方が得策なのか

教えずにいた方が得策なのか

自分でもゲンナリするような考えが一瞬浮かんだけど

フェアじゃないような気がして、言う事にした

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