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旅は続くよ

第15章 それでもキミの為に

O「で?ホントに悩んでんの?」

N「へ?…何が」

O「何がって…。さっきから溜め息ばっか」

N「ああ…。コレはね、アンタの弟がしつこいからですよ。仕事探せって」

O「あ~、なるほどね」


俺の弟は、一見物腰柔らかな堅気の大人に成長したように見えるが

元々は一本気で生真面目で、

ついでに言えば口の悪い男だ

こうと決めたら、例えそれが惚れた相手だろうが

しかもフラれていようが

お構いなしに突き進むんだよね


さらに言えば、マメで有言実行する男だ

ニノには内緒にしてくれと言われたが

俺は『ニノが今まで書いていた雑誌のバックナンバーを探してくれ』と頼まれ

すでに何冊か翔ちゃんに渡してある

まずは、ニノの仕事ぶりを知ろうとしてんのかもなぁ…


O「嫌なの?仕事探すの」

N「嫌ってわけじゃないけど…」

ニノは2m先にいる見えない敵を睨むようにして、口を少し尖らせた

N「…気分じゃない」

O「そっか」


こりゃ難敵だな、翔ちゃん

それでも正面からぶつかってくんだろうなぁ

難敵だからって、ウチの弟が諦めてしまうとは思えない

きっとまたブツクサ言いながらニノを追いかけるんだ

微笑ましいっつーか、何つーか…

笑えてくるなぁ


N「ねえ、……仕事ってそんなに大事?」

O「俺に聞くなよ」

N「…だね。古本屋のオヤジに聞く事じゃなかったね」

O「あのな。古本屋のオヤジだって立派な職業だぞ?」

N「でもさ、さっきから誰もお客来ないじゃない」

O「いいの。そういう日もあるんだよ」


その時、店の引き戸がガラガラと開いて

お客が来たかと思ったら

S「ただいま」

仕事から帰ってきた翔ちゃんだった


O「おかえり。珍しいね、直接コッチに来るなんて」

S「いや、店の方にニノがいるんじゃねーかと思ってさ」

翔ちゃんに視線を向けられた本人は、避けるように俯いた

S「話があるんだけど」

N「…俺には無いよ」

S「いいから。俺の部屋に来てよ」

翔ちゃんはニノの腕を掴むと、

立たせるように少し引き上げた


S「店番だった?借りてっていい?」

O「どーぞどーぞ」

N「もう…。俺、猫の子じゃないんだからさ…」

溜息ついてた割に、ニノは大人しく翔ちゃんに促されるまま立ち上がって

2人で母屋に消えて行った



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