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プリンス×プリンセス

第2章 姉上の婚約者

「無難って何だよ?姉上の事を何だと思ってるんだ!?」

怒り心頭の俺に対して、姉上は冷静だった。

唇に指を当てて考えると、

「多分…一番安全だと思ったんじゃないかしら」

「は!?安全?」

「強いもの同士が一緒になると、良いことも悪いことも起こるから」

「それで…無難…?」

こくりと頷く姉上に、ため息をついた。

結婚をそんな風にしか考えられないなんて。

「やっぱり俺は」

「テリオス、私、結婚するわ」

反対だ―と続けようとしたのに、姉上の言葉で口を閉ざすしかなかった。

「ディオチェスター王子が決意されてるなら、私も覚悟を決めます」

「だけど、あんな…人を見下すような態度の奴…」

「テリオス。元々、私たちの方が格下なのは間違いないのよ?」

俺に言い聞かせるように…でも、もしかしたらこれは、姉上自身の決意なのかもしれない。

「特別に秀でた才能も、美貌も、財力もない私のような女を選んでくれたのよ。こんなに喜ばしいことはないわ」

そして、にっこりと笑った。

その表情に迷いはなく…

俺はそれ以上何も言えなかった。

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