テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第8章 分かりにくい優しさ

2時50分。

先程からジュークが腕時計を何度も見ている。

そんな様子に、ディオチェスター王子は受話器を下ろしながら頬を緩めた。

「そんなに気になるのか?」

からかうような口調に、ジュークは不満げに答えた。

「貴方は気になさらないのですか?」

「なるようにしかならない時もある」

フッと鼻で笑われて、ジュークは顔をしかめた。

「ならなかった場合は…?」

「最初に言っただろう?」

椅子から立ち上がると、首をぐるりと回して肩を解す。

そんなディオチェスター王子に、ジュークはあきれ顔を見せた。

「お一人で…ですか」

「仕方あるまい?」

自分に不都合な状況を楽しむかのように、笑いを浮かべている。

そんな王子に意見をしようと口を開きかけると…

突然、大きな音を立てて扉がノックされた。

そして

「失礼致します!!」

テリオスの執事のカムリが息を荒げながら声をかけてきた。

「何事です?」

ジュークが扉を開くと、そこにいたのは…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ