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プリンス×プリンセス

第8章 分かりにくい優しさ

そうだ。

テレビカメラがどう捕らえていたか、映像を見ていないから分からないけど、見方によっては姉上を庇って撃たれたように見えるかもしれない。

「無事だと伝えたが、お前からも後で電話を入れろ」

ディオチェスター王子。

イヤミで冷たくて、何考えてるのか分かんない奴だって思ってたけど…

こいつ、意外に優しくないか…?

「ありがとうございます!」

本当に、本心からお礼を言ったのは、きっとこれが初めてだ。

満面の笑みを浮かべると、ディオチェスター王子は顔をしかめた。

「浮かれるな。この会見も生中継される」

あ、そうだな。

姉上の代わりをちゃんと務めないとな。

背筋を正して…でも、少しだけ不安がよぎる。

「記者会見、無事に済むかな」

さっきみたいな騒動がまた起きたら…

「今回はジュークがかなり動いたようだから、大丈夫だろう」

ディオチェスター王子の視線の先では、ジュークが部下に指示を出していた。

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