テキストサイズ

カクテルパーティー

第6章 もう響かない君の声

風の香りなのか

髪の香りなのか

ほんのり酒の香りも混じっている

お互いに不器用なそれは

お互いをひどく慰め合い


僕たちは求めては返しあっていた







「橘クン!」

僕がギクッと驚いて我に返ると、立花さんはうんざりしたような表情を浮かべていた



「さっきから一体なんなの?なんかあるのならちゃんと言ってよ!」

立花さんは手のひらを強くテーブルに叩きつけた

その音を聞いて周りの人たちがチラチラと僕たちを見る


僕は場をなだめるつもりで話し始めた


「ごめん…
じゃ、ひとつ聞いていいかな?」



よせ…



「なに?」



「立花さんは昨日の宴会を欠席したよね?どこに…」


やめろ…



「どこに行ってたの?」



「…え?
あ…昨日は、ね」



よせ…

壊れる…



「…祭りに行ってたんだよね?昨日、見たんだ。
一人じゃなかった」
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ