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恋空予報

第21章 season*

二宮side



おかしい。

もう何十分も待ってる。

…なんでだろう?


雨脚は強まるばかりで、
一向に収まらない。


…あっ。スマホ置いてきちゃった…。

パーカーを探るけど、
出てこない。


…どうしよ。

これじゃ連絡取れないよ…。


っ、そうだ。

公衆電話とか、
駅の中にあったよな…。


あーもう、雅紀なにやってんだ。

寝過ごしたとかじゃ、ないよね…?


「…繋がるかな…。」


途端、心配になってしまう。

…早く、出てくれないかなぁ…。


『…もしもし?』

少し苛立った声が聞こえた。

「まっ、雅紀?」

『…っえ、ニノ?なんで?』

「それ、こっちのセリフだから。
…今、どこにいるの…?」

『どこにって…電車に…あっ、
あのね、雨で止まっちゃったみたいで…』

「えぇ…」


嘘だろ。

そんなのあるのかよ…。


『でも一駅分だし、
ニノも待ってるなら歩いて行こうか?』

「えっ、いいよ。
俺が待ってるから…」

『いいよ。ニノ風邪引いちゃうでしょ?
俺が歩くから、待っててね?』

「…うん。」


…とりあえず、
元気だったからよかった。

それにしても…この季節に雨だなんて。

桜が散っちゃうじゃないか。

せっかく雅紀と、
桜でも見に行こうって話、
したところだったのにさ。

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