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イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~

第4章 皆との距離




 ***


その日の夕方、ブルーベルから帰ると、テリザはアレクに、指に巻いてもらった包帯を取った。


あの後ラッドにも、『それはどうしたんだ?』と心配されてしまったが、うっかり切ってしまったとだけ伝えた。


傷口は塞がっているが、包帯を取るとまたずきずきと痛み出した。


(…。)


テリザはなんとなくごろんとベッドに横になった。疲れは溜まっていたかもしれない。


(あの時…アレクは、何を言おうとしていたんだろう。)


『なんでお前は、そう…』


『お前なぁ!もう少し…』


アレクの前では、なんだか失敗しているばかりみたいだ。


(そそっかしいって思われてるだろうな…そのことで、怒ってたのかな。)


自分に呆れ返って、溜息が出た。


また、カチ…カチ…と時計の音がする。


(退屈だな…。)


もうこの時間だし、することも限られている。


(――本、読みたいな。)


テリザはけだるそうに寝返りを打ってから起き上がり、昨日と同じように廊下に出たが、向かったのはハルの部屋だった。

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