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十字架にはキリスト像がなかった。そこで初めて、テリザは自分の勘違いに気づいた。


これはカトリックの教会ではなく、プロテスタントの教会なのだ。

とはいえ、テリザの中に他の宗派への偏見はない。違いを知り、よい所はむしろ認め合うべきだと昔から教えられていた。


（たまには来たいな……。）


ここの空気は、何故だかわからないけど、安心する。来られるときにまた来てみたい。そう思い、十字を切ってから手を合わせ、頭を下げた。


（っ、いけない！早く帰らないと！）


あまり遅くならないように、とラッドから言われているし、アレクは先に帰っているだろうから、心配されてしまう。

時計は持っていなかったが、予定していたより遅くなってしまっているだろう。


テリザはすぐに外に出ると、早足で道を駆け戻っていった。