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Face or Body

第14章 ある医師の悲劇

『どうしたんです?鎌田さん… いきなりこんな場所に私を呼び出すなんて…』

横浜海浜組を経営する
その男は
鎌田に呼び出された
ラブホの一室に入ってきた。

そして…
タマキの死体を目にした。

その男は察した…。
そして
『鎌田さん、警察には?』と尋ねた

『で…出来心だったんです!! 殺すつもりなんて…… 』
鎌田は震えながら
方針状態で答えた

『ああ… あああ―――… もう終わっちゃったよおれの人生――――ぃ!!』
鎌田は頭を抱えて
取り乱す。

その男の
いつもの穏やかな笑みをたたえた表情が
闇世界のボスの顔に変わった。

そして
鎌田におもむろに囁いた。

『なんで私を呼んだんですか?』

『あ… なんか頭に時任さんの顔がうかんで…』

時任一郎【トキトウ イチロウ】
その男の表世界の名前だ。
もちろん本名ではない。

『警察いきます? なかったことにしてやり直したいですか?』
男は
鎌田がこの極限状態のなかで
自分を思い出したことに
これも闇世界に落ちてくる息子たちの
救いを求める声である気がした。

『………鎌田さん。あなた私の息子として… こっち側の世界に来ちゃいますか?』

鎌田に背を向けながら
男は訪ねた。

『…えっ? えっ?』
鎌田はこれから
自分がどんな人生を迎えてしまうのか?
そんな
混沌とした状態で
男の話を聞いた。

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