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Face or Body

第16章 ヒカルの捜査

海浜署の留置場…

山里宏樹は回想をしていた…


俺は美咲がすべてだった。
ボーナスを全部はたいて
交際していた美咲にプロポーズと指輪を
美咲に手渡した。

『幸せにしてね。』

美咲ははにかみながら
ヒロキのプロポーズを受けた。

俺は平凡なサラリーマンだし
人付き合いにも不器用なやつだったのに
みんなが羨むような
暖かい家庭を美咲は作ってくれた。

エリカを授かり
育児に忙しくなり
新婚時代のようなラブラブさは
薄れてもなお
『笑えるくらい平凡すぎるね!!でも、それが一番だと私は思うのよね~♪』

いつも日溜まりのような
笑顔で俺と娘を
包んでくれてたんだよな美咲…。

なのに
3年前…
石渡優という薬物常用者に
美咲は拉致され暴行され
美咲は女性として妻として母としての
すべての尊厳を粉々にされた…。

事件後…
美咲から笑顔が消えた。
美咲から言葉が消えた。
俺は…
そんな美咲を見守るしかできず
不器用な俺は
美咲にかける言葉をうまく探せなかった。

――……美咲、寂しかったよな?

美咲がいなくなった夜から
俺の暮らしは激変した。

マッハ…
美咲を壊した石渡優が溺れた
合成麻薬…
その売人をようやく俺は
3年がかりで探し当てた。

石渡はいずれ法によって裁かれる
しかし
その根底にある
マッハを石渡に渡した男を許せない。

あの夜
ついに俺が突き止めた
港竜会のマサ…。

俺はマサが仕切るベイエリアの
土木作業員として潜入して
ついにマサから
この一言をもらった。

『あんた…いいものあげようか?』

あの夜は
マッハを手渡してもらい
その瞬間にマサを捕まえて
警察へつれていくつもりだった……。

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