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Face or Body

第17章 過去と今の交錯

『確かにおかしい…』

港竜会の若頭筆頭
長谷場宗則は
マサを疑惑の目で眺めれば
眺めるほど
疑惑を深めていた。

マサは本来は
ストイックな奴のはずである…
しかし
最近のマサは
ふとした会話の端々に
下世話な話をする。

たとえば
組員の○○のオンナは
色っぽいだとか…
たとえば
昨日、パチンコで○万円すったとか…

そんな折

海浜港である溺死体が上がったという
情報が上がってきた。
死体は警察が回収したが
溺死体の発見者である
港竜会が取り仕切る飯場ではたらく
土木作業員からの噂では…

『顔が判らなくなるまで壊されていて、思わず目を背けたくなったが、入れ墨が背中一面に施されていて、それがマサさんの入れ墨にそっくりだった』

というものであった。

宗則の頭に
直感的に
あの死体がマサではないか?
そんな疑問が浮かぶとともに
最近のマサの言動と醸し出す空気への
違和感が
宗則のなかでは疑問から確信へと
変わっていった。

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