テキストサイズ

Face or Body

第17章 過去と今の交錯

取調室の沈黙を
先に破ったのはヒロキだった。

ヒロキは意を決したかの表情で

『美咲が事件後、感情がなくなり笑顔が消えた…。なんとも沈痛な空気が家のなかに充満しました…』
とヒロキが口を開いた。

『ところが、ある日エリカが私に“あの女の子のお巡りさんいなかったら、ママ殺されてたから、あの女の子のお巡りさんに【ありがとう】って言いたいよ~”って言ったことがありました。』
続けて
『皮肉な偶然ですね… あのときのエリカが私に教えてくれた“女の子のお巡りさん”があなただったんですね…。』

そして
ヒロキは今回の自首の
本当の目的を語りだした。

美咲を犯して壊した
石渡は法の裁きをうけることで
殺意に似た復讐心を
ヒロキは必死で抑え込んだ。

しかし
石渡をケダモノにした
マッハを密売し蔓延させた人間を
警察は捕まえることができず
悪戯に時が経過した…。

その間に
美咲は投身自殺…。
美咲の遺体が見つからないことに
ヒロキは美咲が
まだどこかで生きているのではないか?と
思い込むことで平静を保ちつつ…

ある決意をした。

――マッハの根元にたどり着き
――俺がそいつに天誅を下す!!
――もう警察はあてにしない!!

そして3年の時がすぎて
ヒロキは港竜会のマサなる人物に
たどり着いた。
会社を辞めて
神戸の実家に娘を預け
孤独と戦いながら
たった一人で調べ尽くした。

ところが追い詰めて
殴り付けた
マサの口からは
『◎◎…』という更なる黒幕がいることを
聞かされた。
『◎◎…』という名前であろうマサの言葉が
周囲の雑音にかき消されて
聞き取れなかったのは
痛恨の極みだったが…。

マサを追いかけて
大量の血痕を見て
ヒロキは自分が
マサにくわえた暴力に
よるものではないことは
ヒロキ自身が実は分かっていたのだ…。

ヒロキは
マッハの影にとてつもない強大なものが
蠢くことを確信し…
自分の主張を理解し共感してくれる
警察官の登場を
待っていたのだった…。

ヒカルとデーブの正義が
燃え始めた…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ