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Face or Body

第58章 究極の復讐

ヒカルが警察官を辞め
夫のアキラを支える日々が
始まって4ヶ月が過ぎた。

季節は冬から春を経て
ゴールデンウイークを迎えていた。

アキラは休暇をつかい
ヒカルと
山口からヒカルの母ミサトを呼び寄せ
アキラの両親と妹のサチを含めた6人で
家族旅行を計画した…。

伊豆にある温泉旅館…。

『やっぱり夫婦だけで来たほうがよかったんじゃないの?』
とサチはヒカルに話しかける

『いいえ。今回の件ではみんなに迷惑と心配をかけたし…、なによりちょっとだけだけど元気になった私を見てほしくて…。』
とヒカルが答えた…。

1泊2日のささやかな旅行であったが
アキラは
ヒカルが発見当初よりも
いくぶんか以前のヒカルに戻ってきたことが
嬉しくてたまらなかった。

夜―――。
ヒカルは
あらためて夕げの乾杯の前に
みんなにお礼の言葉を述べた。

穏やかな時間が
食事の場を包んでいた。
とその時…
『あれ?ヒカちゃん…。あなた…。貝類が苦手じゃなかったの…?』
と母のミサトが
ヒカルが美味しそうに
ホタテの刺身を食する姿に
目を丸くした。

『ああ… そういえばそうだよね~』

アキラの妹サチも驚いたように
声をあげた。

ヒカルは苦笑いをして
『あ… いや… あの… ………監禁されていらいね… 生きてることの大切さを実感したの… ……生かされてるっていうのかな
…。 そんなことを考えていたら、人やモノの好き嫌いなんて、なんだか申し訳ない気分になっちゃってさ… …それにみんなの顔を見ていたら、なんか… アハっ…気がついたら食べれてました~!!』
とオチャメなポーズをしながら
そう答えた…。

和らいだ雰囲気のなかで
そんなヒカルを
心配げに見つめるミサトがいた。

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