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Face or Body

第60章 過去からのヒント

サクラコと村山は
ヒカルの母ミサトの訃報を知り
山口に駆けつけたとき
すでに
ミサトは荼毘にふされたあとだった。

ミサトの墓前には
ヒカルとアキラに案内されたのだが
サクラコと村山には
ヒカルの瞳から
母を亡くした深い悲しみが
読み取れなかった…。

その夜…
サクラコと村山が滞在するホテルに
アキラが訪れた…。

アキラは
ミサトがいまわの際に
絞り出すように口にした
今のヒカルはヒカルではなく
ヒカルは別にいるという言葉を
サクラコと村山に伝えた…。

サクラコと村山は
かつてヒカルがアキラとともに
誤認逮捕した
高城カケルの情報を口にした…

――――ヒカルは
ヒカルではないのか?

そんな衝撃的な推理に
アキラは青ざめた

そして
そう考えれば
ヒカルが戻ってきて
一緒に暮らすうちに感じた
ヒカルの変化の根拠が合理的に
裏付けられるのだ…。

まず
最近のヒカルは
警察官をやめたのだから
子作りを再開できる状況でありながら
その話題を口にしない…

アキラは当初
ヒカルが遭遇した拉致監禁事件の
トラウマがそうさせていると思っていたが
ヒカルから
夜の生活は積極的に求めてくる…。

ヒカルは以前
アキラの夜勤明けには
警察官なんだから
身体には気を配らないと…
と性的触れ合いを求めなかったが
あの事件のあとは違っている…

ヒカルは以前はもっと俺の身体や
メンタルに気配りがあった。
それが今では
まず私が…私が…という
行動パターンになっている。

アキラには事件の前後で
ヒカルの内面の変化に気がついていた。

そして………
ヒカルの身体の反応。

ヒカルはアキラと繋がり
身体が快感の頂点に達したら
アキラの背中に爪をたてるクセがあったが

そういえば
事件後………それがない。

アキラはサクラコと村山との会話が
終わる頃には
確信を持った………。

ヒカルはヒカルではない!!

――では誰なんだ?
ヒカルへの復讐を誓った
カケルは今
どこで何をしているんだ…。

アキラはホテルからの帰途
夜の闇が
まるで自分とヒカルを包み込み
引き裂いていく
魔法の煙幕のように感じていた。

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