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Face or Body

第65章 終焉 ~あの場所から再び…

俺は
昨夜帰宅しなかったアキラが
もう俺のもとに2度と
戻って来ないような不安に襲われ
夜が開けると
川島交番に向かった…。

交番にはアキラの後輩の畠山がいた。
畠山は私の顔を見るなり
『あ!!おはようございますヒカルさん』と
人のよい笑顔で
挨拶をしてきた。

俺は
『アキラは今どこにいる!!』と
怒鳴りたくなる感情を精一杯に制御して
『いつも、アキラがお世話になってます。 …あの昨夜…なにか事件でもあったんですか? 昨夜アキラが帰宅しなくて、ケータイにも出なくて心配してたんです…』
とヒカルを演じきって尋ねた。

すると
畠山は
『あ… すみません伝え忘れてました!! 先輩は海浜新町駅のホームで、なんだか昔の事件の検証をしなおすって言って、直村さんと出ていますよ。』

―――海浜新町!!
―――昔の事件!!

…………直村アカリと一緒に?
最近
アキラがたまに家でも話題に出す
女性警察官だ…。

どうして2人が一緒にあの事件を
洗い直してるんだ!!

俺は動揺を抑えて
畠山に
『そうだったんですか。ちょっと心配したもんで、ちらっと顔だけでも見てきます』
と答えて
川島交番をあとにした。


――――…………
『あれがヒカルさんじゃない………。本当ですか?』
畠山が
交番の奥に向かい言葉を投げた。

『ああ、十中八九まちがいない…。あれはヒカルじゃなくて高城カケルだ。 あれの手のひらには竹刀ダコがない…。』
と言葉を発しながら
交番の奥から
村山が顔を出した。

『ええ…。ヒカルなら、どんなに自分が慌てていても…。 元同僚の畠山くんに【ごくろうさまです】ってまずは、思いやりの言葉をかけるよ。あのコは、そういうコ。』
とサクラコも言葉を発した。

『顔と身体は完璧でも… 心のなかは変えられない…。』
サクラコは
交番の玄関に出て
初夏の青空に向かいそう呟いた…。

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