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Face or Body

第66章 その後…

俺は…

あの日…

海浜新町のホームで
『私がいるから!!』
『俺がいるから!!』とヒカルとアキラに
抱き締められた…。

抱き締められて
身体のなかに充満していた
すべての毒がドロドロに流れ出して
やがて
消えてなくなっていくのを実感した。

俺は身におこった不幸を
受け止めきれない男だったのだ

考えてみれば
全部人のせいにして生きてきたような気がする…

しかし
あのヒカルは違った…
しなやかに強い…

オヤジの闇の力に翻弄された点では
おれもヒカルも同じ被害者…
俺が本来恨むべきは
オヤジだったはずなのに
俺にまで恨まれて
母親を殺められ
一時は巻町ヒカルという存在まで
俺に乗っ取られていたのに…

ヒカルは俺に謝った…。

オヤジはすでにどこかへ消えたが
俺がこうして社会復帰できたのは
親父からの俺への餞別ってことか…。

もう男性には戻れないが…
高城カケルとして
ヒカルではない顔になり出直そう…。

そして何十年もたった将来。
その時の顔で
俺は絶対におれの人生を確立して
ヒカルとアキラに謝罪する。
それがおれの人生かけた
目標だ…。

真夏の太陽が照りつける朝…
釈放された
カケルはそう誓って
町に消えた。

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