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泣かぬ鼠が身を焦がす

第9章 磯の鮑の


窓の外から鳥の囀りが聞こえる

嵌め殺しの窓でもちゃんと鳥の声が聞こえるのは不思議


「……ぅ、ん……」


抱き締められてて寝返りが出来ないからか、身体が固い


思いっきり伸びしたい……!!
けど、起きちゃうかな


そっと目を開けると少し上にある杉田さんの顔は、既に目が開いている


「おはよう、ノラ」
「!」


うわうわ

やばい

好きなんて自覚したからかわかんないけど
すごいきらきらしてる

気が……する……


「……はょ……」


小さな声で返事をして、恥ずかしさに俯く
すると杉田さんは、寝る前にもしてくれたみたいに頭を優しく撫でてきた


「…………んだよ、やめろ」
「腰痛くないか?」


腰……あ、やばい
動かないかも?
でも


「痛くない」
「そうか、よかった」
「……っ」


今杉田さん絶対笑ってる
すっごいきらきらした顔で笑ってる

うぅぅぅぅぅぅぅ

見たい……けど、見たくない!


何言われても顔上げないの、不審がられるかな

でも今更だし


「……」
「ノラ?」
「……なに」
「顔上げて」


う…………
なんでこういう時ばっかり優しい言い方すんの

恥ずかしい
くそ

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